ハヤテのごとく! 『暫定最終回・その2』の怪

  • 『暫定最終回・その2』とは

具体的には3巻7話から4巻1話までの長編のことで、『暫定〜』という名称はBSでの作者の発言によるものです。ちなみに、アニメでは丸々カットされました(^^;(そのうちあるかもしれませんが)


ここから先の話はハヤテのごとく!を全巻所持していない人にはかなりのネタバレとなります。大丈夫な人のみ下からどうぞ。

  • 台詞改変事件

この話が掲載された時、ハヤテ読者の中で一騒動あったのを憶えているでしょうか?問題が起こったのは以下の伊澄の台詞です。

ナギが「売る」と言ったから「買う」と言ってみたくなっただけですから・・・

ハヤテのごとく!第32話「Hayate the combat butler」(雑誌掲載時)

この台詞により「ハヤテを物扱いしている」とファンの怒りを買い、伊澄の株が大暴落してしまった(らしい)件です。ちなみにこの台詞は現在

人をお金で売ったり買ったりするのはよくないことですし・・・

ハヤテのごとく!4巻第1話「Hayate the combat butler」

という台詞に変わっています。


この件の真相については一旦置いておいて、まず『暫定最終回・その2』がどのような話であったかおさらいしてみましょう。

  • あらすじ
  1. ハヤテが伊澄と浮気したと勘違いしたナギが、「ハヤテなんか伊澄にもらわれちゃえばいいんだぁ!」と発言
  2. 空気を読まずに伊澄がハヤテを(1億5千万で)もらってしまう
  3. 傷心のナギがギルバートの口車に乗って狂言誘拐&大ピンチ
  4. ハヤテが伊澄の元を去ってナギを助けに行く
  5. ギルバート撃破&ハヤテが元通りナギの執事に

細かいことを言えば『遺産の相続条件が変わった』とか、『咲夜とギルバートが兄妹だと判明した』とか色々ありますが、大まかな流れはこんな感じです。
では、次項からこの話のちょっと気になる点について言及していきたいと思います。

  • 伊澄は知っていた?

とっても優しくて・・・可愛い子なんですよ(ハート)

ハヤテのごとく!2巻第8話「バッドエンド直行フラグ立ちまくり」

私のハヤテは世界一頼れる優しい男だ(ハート)

ハヤテのごとく!3巻第7話「モテる苦労はした事ないなぁ〜」

ハヤテとナギがそれぞれお互いに対する印象を伊澄に語る場面。この2コマ、そっくりなんですよね。台詞内容はもちろん表情や語尾のハートマーク、擬音(『ニコッ』)、そして、聞き手が伊澄であること。まあそれはともかくとして、この2つのシーンから、伊澄はハヤテとナギのお互いへの気持ちをある程度知っていたことになります。

秋塚さんに似ているあの方は・・・
私のナギが・・・好きな人だから・・・

ハヤテのごとく!4巻第3話「先生が死ねと言ったらお前は死ぬんだな!?」

『暫定〜』終了から2話後の伊澄の台詞です。作中の描写を見る限り、伊澄がナギとこの場面以前で最後に会話したのは4巻第8話のラスト、伊澄が「ハヤテを買う」と言った場面です。ということは、普通に考えれば伊澄は「ハヤテを買う」と言った時には既にナギがハヤテを好きだと気付いていたことになります。

  • 秋塚さんの存在

ハヤテさまに初めて会ったその時・・・
生まれ変わりかと思いました・・・秋塚さんの・・・

ハヤテのごとく!3巻第9話「お嬢さまのなく頃に」

と、ハヤテを貰った理由の一端が秋塚さんという人物にあることが示されました。が・・・

秋塚さん、今週生き返っちゃったんですよね・・・・・・

ハヤテのごとく!4巻第1話「Hayate the combat butler」

その正体はTVの変身ヒーローのことであり、しかも生き返ったことで伊澄は満足してしまったようです。
ちなみに秋塚さんはこの話以降登場していません

  • まとめ

以上のことをまとめると、伊澄は
『ナギがハヤテのことを好き』で『ハヤテもナギをある程度慕っている』ことを知っていたにもかかわらず、ナギからハヤテを1億5千万円で買った上『好きな変身ヒーロー(秋塚さん)に似ている』という理由で泣き落としを使ってまでハヤテを引き留め、全て終わってハヤテがナギの元へ戻ると今度は何事もなかったかのようにケロッとして『秋塚さんが生き返ったからハヤテは用済みだ』と言わんばかりの態度を取った
ということになります。


これはもはや最初に言った『ハヤテを物扱いしている』とかいうレベルではありません。これぞまさしく『ルール無用の残虐ファイター』です。






  • ここから本題

で、こんなに長々と書いて何も私は伊澄を貶めようとしているわけではありません。
・・・というかここまで読んでくれた方、


何かおかしい


と思いませんか?
特に今までずっと『ハヤテのごとく!』という作品を読んで来た方、伊澄が本当にこんなことをするようなキャラだと思いますか?


私はそうは思いません。


一番引っかかるのはナギのことです。

あんなふうに・・・・・・・・泣かせるつもりはなかったの・・・
私が未熟だったから・・・

ハヤテのごとく!7巻第8話「魔物ハンターようこそ伊澄」

上の台詞からもわかるように、伊澄は幼少の頃に起こった何らかの出来事によってナギに対して負い目を感じており、異常なほどナギのことを気にかけています。つい最近あった下田旅行編では、そのことが原因で力を失った(と思い込む)ほどです。ちなみに上のシーンでは

だから私はもう・・・友達を傷つけたりはしないの

ハヤテのごとく!7巻第8話「魔物ハンターようこそ伊澄」

とはっきり言っています。そんな伊澄が、ナギの気持ちを無視してこのようなことをするでしょうか??
2巻のおまけページには

【好き・得意】
ナギとナギの漫画

ハヤテのごとく!2巻巻末プロフィール『鷺ノ宮伊澄』

とあり、ここからも伊澄にとってナギが特別な存在であることが覗えます。


また、『暫定〜』で伊澄はハヤテと初めて会った時のことについて

ハヤテさまに初めて会ったその時・・・
生まれ変わりかと思いました・・・秋塚さんの・・・

ハヤテのごとく!3巻第9話「お嬢さまのなく頃に」

と言っていますが、『執事とらのあな編』での伊澄は

本当は初めて会った時・・・
ハヤテさまなら私のヒーローになってくれるかもって思ったんですが・・・

ハヤテのごとく!6巻第10話「ハヤテと巨像」

と(心の中で)言っており、若干の違いがあります。どちらがより真実に近いかと考えると、モノローグで嘘をつくとは考えられないのでこれは間違いなく後者の方であり、だとすると前者を伊澄の本心とするのは少し無理があるような気がします。
『私のヒーロー』=『秋塚さん』と考えれば大意は同じですが、前者で伊澄が欲しているものはあくまで『憧れの変身ヒーローの代わり』であるのに対し、後者では『現実に自分を守ってくれる存在』であることを考えると、本質的には異なるように思えます。





とまあ、ここまで色々書いてきて私が結局何を言いたいのか・・・・・・
それは、


『暫定最終回・その2』の伊澄には嘘がある


ということです。


では、もしそうだとしたら伊澄はなぜこんな凶行に及んだのか、そして、そもそも『暫定最終回・その2』とはどういう話だったのかは・・・後日、別のエントリで(たぶん


※このエントリのほとんどは妄想です。